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「2023学生研究・調査・開発活動支援」成果報告

企画 いいなぎサイクル
団体名 石濱ゼミ
代表 野本 幸佑
メンバー 鶴見 涼之佑、 渡邉 怜苑、 藤田 大陽、 石川 悠真

1.企画背景

東京都稲城市の良いところは、「ほどよく田舎 ほどよく都会なまち」であり、「市民に自然環境、生活環境の良さを感じている人が多い」、そして「豊富な水資源や梨・ブドウなどの果樹栽培が盛んな地域」である。しかし、市の課題は、「坂道が多く、市民や来訪者の回遊手段が少ない」、「市内在住者の知らない、稲城の魅力」をあげている。
実際に稲城にフィールドワークを実施し、生産者梨農家さんを訪れてインタビューした際、梨の重みや風など様々な要因で落ちてしまった梨は土に埋められてしまい、規格外品が発生していることを知った。
また、本企画は多摩地域における郊外住宅型都市の課題を踏まえた観光街づくりをテーマに、自治体などと連携しながら事業構築をし、次年度の実用化を目指す「たまリズムコンテスト」で発表をおこなった。

2.企画目的

我々の目的は「マイクロツーリズム」、「プチ名物で味力アップ」、「地域とのつながりを深めること」である。以上3つの要素の「運動(cycling)」「食(cooking)」「コミュニティ(community)」の3つの観点から、頭文字Cをとった、3Cで稲城を盛り上げることである。
また、生産者梨農家からインタビューの最後に、「商品とならない梨といっても、ここまで生産の過程があり、一つ一つに手間がかかっている」と説明された。
そういった農家の方の生産に対する熱意も伝えていきたい。そして、この活動と魅力が継続的になるような企画としていきたい。

図1 3Cの図解
図1 3Cの図解

3.実証実験

今企画を進めていく上で、外部の人間である我々がコミュニティを作るために榎戸地区のお祭りやキャンプに参加し、稲城に関わる皆さんと積極的にコミュニケーションを取った。
そして、梨農家の方から店頭に並ばない規格外品の梨を譲っていただいたものを用いて、4つの実証実験をおこなった。

図2 キャンプに参加した時の様子
図2 キャンプに参加した時の様子

1)実証実験① 南武線稲城長沼駅ビアマルシェ

実施日:10月13、14日
目的は、プチ名物の企画・販売である。
稲城市観光協会と協働し、梨とウインナーのバターソテーを考案し販売し、2日間で300食以上を売り上げ完売した。

  • 図3 ビアマルシェ当日の様子
    図3 ビアマルシェ当日の様子
  • 図4 梨とウインナーのバターソテー
    図4 梨とウインナーのバターソテー

2)実証実験② 親子クッキング会

実施日:10月28日
目的は地域の輪を作ることである。
夏休みに参加した榎戸祭りやキャンプで繋がった親子を招待し、SDGsクイズを通して梨の現状を伝え、子どもたちと一緒に梨とウインナーのバターソテーと梨ジャムを作った。

  • 図5 親子クッキング会当日の様子
    図5 親子クッキング会当日の様子
  • 親子クッキング会当日の様子

3)実証実験③ インクルーシブイベント

実施日:11月5日
目的は機材の準備などできる限り自分たちの力でイベントをおこなうこと。
キッチンカーの一部をお借りしてすりおろした梨をソースとあわせた梨風味焼きそばを販売し100食を売り上げ完売した。

  • 図6 インクルーシブイベント当日の様子
    図6 インクルーシブイベント当日の様子
  • インクルーシブイベント当日の様子

4)実証実験④ イルミネーション点灯式

実施日:11月25日
目的として上記3つの実証実験を踏まえた上で、この企画をより持続的なものにするため、これからは稲城の人にやっていただかないといけないと考え、今回でいうと高校生にレシピなどを監修し、梨風味焼きそばを販売していただき、30食を売り上げた。

4.結果・考察

今回の活動の1番の課題点は、3Cの運動を絡めることができなかったことである。
しかし、我々のやってきた活動は規格外の梨を使い、プチ名物を考案し地域の皆様に食べてもらうことや子どもたちへの食育として地域に還元させることで、地域活性化につながり、稲城の認知度を向上させることができる。
そして、結果的に稲城に来訪する人が来るという郊外住宅型都市の観光まちづくりのサイクルを生み出すことができる。つまり、この活動は農産物などの元々持っているポテンシャルを生かし、価値をさらに高められ、稲城で6次産業を様々な形でサポートできると考えた。また、規格外品はどのような食材でも存在するため、この企画はすべての地域でもおこなうことができると期待したい。

図7 いいなぎサイクルの図解
図7 いいなぎサイクルの図解

5.最後に

2023年11月11日に行われた神奈川大学経営学部のインターゼミナール大会にて発表したところ、奨励賞をいただいた。また、同年12 月15日に行われたタマリズムコンテストにおいて最優秀賞をいただくことができた。

図8 たまリズムコンテスト当日の様子
図8 たまリズムコンテスト当日の様子

6.謝辞

最後に今回の「いいなぎプロジェクト」における実証実験にあたり、「学生企画プロジェクト」に採択していただいた、神奈川大学国際経営学会および稲城市のみなさまに御礼を申し上げます。